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【専門家解説】猫にとって有害・危険な食べ物と対策

執筆者の写真: PINOPINO

猫の命を危険にさらす食品は意外と多い!

私たち人間が日頃普通に口にしているものは、猫にとっては大きな脅威になる場合があります。 それぞれの食品とそれに含まれる有害成分、食べてしまった場合の症状を記載します。 皆さんの家にも猫の手の届く形で置かれていないか、チェックしてみてください。  

猫に有害な食品

猫にとって有害な食品は多岐にわたります。 手作りフードを作っている方や、人間用の食事を分け与えている方などは注意が必要です。  

<野菜類>

・にんにく、にら、長ねぎ、玉ねぎ

有害成分:アリルブロビルジスルファイド、有機チオ硫酸化合物 症状:中毒、消化器障害、食欲低下、下痢、嘔吐、溶血性貧血、血尿、黄疸など アリルブロビルジスルファイドや有機チオ硫酸化合物は、血液中の赤血球を破壊し溶血性貧血や血尿などの症状を引き起こします。 火を通しても変わらないため、どのように調理しても与えるべきではありません。  

・アボカド

有害成分:ペルシン 症状:中毒、消化器障害 食欲低下、下痢、嘔吐、呼吸困難など 化学作用はまだ詳しく解明されていませんが、ペルシンには殺菌作用があるといわれています。 ペルシンは葉、樹皮、種子などの可食部分以外にも含まれるため、鉢植えなどで育てている方もご注意ください。  

・ゆり根

有害成分:不明 症状:中毒、腎不全、食欲低下、嘔吐、下痢、痙攣など ゆり根はオニユリやヤマユリの球根ですが、猫はユリ科全般に中毒の危険性があります。 自宅でユリを飾っている場合は猫の入らない部屋に移動するなど、注意が必要です。  

・ほうれん草

有害成分:シュウ酸 症状:シュウ酸カルシウム結石症、骨粗鬆症など シュウ酸は生のほうれん草に多く含まれます。 尿中にシュウ酸が増えるとギザギザとした結晶となり、尿路結石症を引き起こします。 またカルシウムと結合してカルシウムの吸収を阻害し、骨粗鬆症の原因となります。 茹でれば取り除けますが、残留する可能性もあるため与えないほうが良いでしょう。  

<果物類>

・イチジク

有害成分:フィシン、

ソラレン 症状:

中毒、アレルギー、皮膚の痒み、口腔粘膜の荒れ、発疹、下痢、嘔吐など フィシンは口腔内の粘膜に炎症を生じさせます。 また、ソラレンによって皮膚に痒みや発赤を引き起こします。 糖質も多い果物のため、与えるべきではありません。  

・ブドウ、レーズン

有害成分:酒石酸 症状:中毒、急性腎不全、食欲低下、嘔吐、下痢、脱水など ブドウの果肉に含まれる酒石酸が原因でさまざまな中毒症状を引き起こします。 猫にとってはブドウは一粒でも危険です。

実験では、ぶどうは体重1Kに19.6g レーズンは体重1Kに3gで中毒をおこしましたが、これ以下の量でもブドウ中毒になる場合もあります。
・パパイヤ

有害成分:パパイン酵素 症状:アレルギー、口腔粘膜の荒れ、痒み、炎症など 青パパイヤなどに含まれるパパイン酵素は猫にとってはアレルギー物質です。 ※毛玉の消化を助けるサプリメントに配合されているものは、加工されているため問題ありません。  

・マンゴー

有害成分:カルドール 症状:アレルギー、口腔粘膜の荒れ、皮膚痒み、炎症など マンゴーはウルシ科で、かぶれを引き起こすウルシのアレルギー成分「ウルシオール」とよく似た性質のカルドールが含まれています。 皮の部分に多く含まれており、触れただけで皮膚炎などを引き起こす可能性があります。  

<甲殻類、魚介類>

・イカ、タコ、エビ、カニ

有害成分:チアミナーゼ 症状:ビタミンB1欠乏症による食欲低下、歩行障害、麻痺、多発性神経炎、脳炎、心機能障害など 生のイカ、タコや甲殻類に含まれるチアミナーゼは、ビタミンB1を破壊します。 過剰に摂取すると上記のような重篤な症状を引き起こします。  

・貝類

有害成分:チアミナーゼ、ピロフェオホルバイドα 症状:ビタミンB1欠乏症、光線過敏症、食欲低下、歩行障害、麻痺、皮膚炎、痒みなど ピロフェオホルバイドαはサザエやアワビなどの貝類の内臓に多く含まれ、食べた後に紫外線を浴びると光線過敏症を引き起こします。 猫の身体は通常被毛に覆われているため光線過敏症の影響を受けませんが、毛の薄い耳の先が壊死してしまうことがあります。  

光線過敏症とは? 日光に当たることで皮膚の痒みや赤み、発疹などを引き起こす病気。 日焼けも光線過敏症に当たります。

・青魚

有害成分:不飽和脂肪酸(過剰摂取) 症状:ビタミンE不足による黄色脂肪症(発熱、疼痛など) 青魚に含まれる不飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、脂肪の代謝に役立つビタミンEが不足して黄色脂肪症という病気になることがあります。 黄色脂肪症とは、身体の脂肪が黄色く硬くなりしこりや炎症が生じる病気です。  

<注意>キャットフードでも黄色脂肪症に?

青魚が主原料の缶詰やウェットフードを多く与えられた猫が発症した例があります。 予防のために、青魚以外の食材が主原料のドライフードなどと一緒に与えたり、与える頻度を減らすなど食事のバランスを考える必要があります。

<乳製品、卵>

・牛乳、チーズ

有害成分:乳糖 症状:下痢、腹痛、嘔吐、アレルギーなど 猫の身体には乳糖を分解するための酵素であるラクターゼがあまりありません。 そのため消化吸収が得意ではなく、下痢や腹痛などを引き起こします。 また、乳製品アレルギーの猫もいるため与えないようにしましょう。  

・生卵

有害成分:アビジン 症状:ビオチン欠乏症による皮膚炎、脱毛症など 生の卵白に含まれるアビジンはビオチンと結合して腸からの吸収を阻害します。 ビオチンは皮膚や被毛、爪などの健康に役立つビタミンB郡の一種で、不足すると皮膚炎や脱毛症などの原因となることがあります。  

<菓子、加工品>

・チョコレート

有害成分:テオブロミン 症状:嘔吐、下痢、発熱、興奮、痙攣、ふらつき、震え、不整脈、呼吸困難、喉の乾きなど 原料であるカカオ豆に含まれるテオブロミンには延髄や脊髄の興奮作用があり、痙攣や呼吸困難等を引き起こします。 特に高カカオチョコレートには多く含まれています。 テオブロミンは少量であっても危険なため、注意が必要です。  

体重1kgあたり20mg程度のテオブロミン摂取によって中毒症状が現れはじめ、100〜200mg(猫の場合は80〜150mg)の摂取で死に至ると言われています
引用元:埼玉動物医療センター 犬や猫にチョコをあげてもいいの?
・人間用の味付けがされているもの

有害成分:塩、糖質、脂肪分 症状:肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症など 人間用に作られたお菓子や食品などは、猫にとっては糖分や塩分、脂肪分が多すぎます。 お菓子に関しては、そもそも猫は肉食で果実などの甘いものを食べる習慣がありません。 舌で甘味を感じられる遺伝子が壊れているため甘味は感じないと言われており、甘いものを与える意味がありません。  

・ナッツ類

有害成分:ペニトリウムA 症状:中毒 嘔吐、下痢、腹痛、痙攣など ナッツ類に多く含まれるペニトリウムAは中毒症状を引き起こします。 また、ナッツ類には脂質やミネラルが多く含まれるため、継続的に与えると尿路結石や肥満などのリスクが高まります。  

・キシリトール

有害成分:キシリトール 症状:低血糖、肝障害、元気消失、沈うつ、嘔吐、痙攣など キシリトールは猫の体内で血糖値を下げる働きを持つインスリンというホルモンの分泌を促します。 低血糖に陥ると、吐き気や痙攣などの症状を引き起こします。  

・スパイス、香辛料(唐辛子、わさび、からし、こしょうなど)

猫は辛いもの、刺激の強いものを食べる習慣がありません。 唐辛子に含まれるカプサイシンは胃腸炎などを引き起こします。 また、カレーなどに使われるスパイスの中には猫の中毒症状を引き起こすものもあります。  

<飲料>

・カフェイン

有害成分:カフェイン 症状:中毒、嘔吐、下痢、腹痛、痙攣など お茶、コーヒ、チョコレートなどに含まれるカフェインは、中枢神経を興奮させ痙攣などの症状を引き起こします。 カフェインレスを謳っている商品であっても100%カフェインが入っていないかは分からないため、与えるべきではありません。  

・アルコール

有害成分:アルコール 症状:中毒、嘔吐、下痢、腹痛、痙攣など 猫は肝臓でアルコールを分解できず、摂取すると中毒症状を引き起こし最悪の場合死に至るケースもあります。 お酒のほか、アルコール消毒液、アルコール除菌シートなども猫の手の届かないところに保管しましょう。  

万が一、これらを摂取してしまった場合

自己判断をせず、ただちに動物病院での診察を受けましょう。 病院では状態に応じて以下のような処置が行われることがあります。 ・催吐処置 ・解毒剤の投与(適応する解毒剤が存在する場合) ・胃洗浄 ・輸液療法 ・活性炭の投与 ・症状に応じた治療  

有害な食べ物の摂取を避けるには?

では、有害な食べ物を摂取させないよう飼い主が考えるべきことはどのようなことでしょうか?  

・安易に人の食べ物、飲み物を与えない

キャットフード(総合栄養食)は、それと水だけで猫に必要な栄養が充分とれるように設計されています。 人間と猫では食性も身体の作りも、必要な栄養素も全く異なります。 人間にとって体に良い物だから、美味しいからと安易に猫に人間の食べ物を与えるのはやめましょう。 これさえ徹底していれば猫が人間の食べ物を欲しがることもありませんし、食べ慣れないものを自ら口に入れるという可能性も少なくなります。  

・猫の生活スペースに置きっぱなしにしない

猫は犬と違ってテーブルやキッチンなど高いところにも登ってしまいます。 うちの子はいたずらしないから…と人間用の食品を置きっぱなしする方も多いですが、

動物に絶対はありません

。 日頃から猫の生活スペースは整理整頓をし、猫に危険が及ばないよう心がけましょう。  

【まとめ】猫にとって安全な環境づくりを!

思った以上に猫にとって危険なものが身近にあるということにお気付きいただけたのではないでしょうか? どれも飼い主さんが知っているだけで事故を防げるものばかりです。 参考にしていただき、猫にとって安全な環境づくりにお役立てください。

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